英文法も楽しんで🎵②

前回のbe動詞の文に続いて、一般動詞の文法も、英文法人形を使って教えていきたいと思います。

英語を教えている方なら、

Iam play tennis.

になってしまう子の多さは、分かると思います。

そもそも、be動詞と一般動詞を両方同時には使えないんだよ、と教える良い方法はないか?と考えて思いついたのが、この英文法人形なのです。

 

be動詞のam、are、isは「気をつけ」の形の白い体にしました。(前回を参照)

一方、一般動詞のplayやhaveは、動きのある白い体にしました。f:id:muchakosensei:20220328133443j:image

be動詞の時と同じように、首をスポッと差し込めるようになっていますが、heとsheは首が太くなっていて、He play  や Iplays は作れないようにしてあります。

三単現も自然と身に付いてくれるといいなぁ、と思って。He plays や She plays は、理屈で考えるより、繰り返し発音して覚えてしまったほうが早いと思うのですが、そのための手助けを、この人形に託しているのです。

 

話を戻して、「Iam play ~」が英語としておかしいことは、この人形を使うとハッキリします。

首は1個なのに、体が amplay の2つになってしまいますから。首をスポッと差せるのは、どちらか1つだけだよ~と言えば、子ども達も素直に聞き入れてくれるはず。

 

ちなみに、playは目的語を付けられます。白い体と同じポーズに、ユニフォームやラケット、ボールなどを持たせたものを、上にかぶせるようにしました。写真は tennis と basketball です。

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もう一組、baseball と the guitar も載せようかな。もう、私の趣味の領域ですね。

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中学2年生、3年生が、一から英語をやり直そうと思っても、覚えることは莫大だし、苦手意識も邪魔をして、なかなか楽しんで勉強するのは難しい。

そんな状況を、小道具にヘルプしてもらって乗り切るのは、個別指導だからこそ、出来ることですよね。

 

 

英文法も楽しんで🎵①

中学校で個別支援を希望する子は、2年生からスタートすることが多い気がします。

1年生の間は、友達の目もあるし、自分で頑張ってみようと思ったけど、やっぱり無理だぁーという訳で、支援教室にやって来るようです。

すると、数学だけでなく、英語もちんぷんかんぷんな子が、たくさんいます。

 

アルファベットが書けない子には、もちろんアルファベットの練習から始めますが、そこは大丈夫、という子には、何から始めましょうか?単語ですか?文法ですか?

 

英単語を書けるようにひたすら練習させる、というのは、私は絶対やりません。そんなの、楽しくないですから。

英語だって、楽しく勉強したいですよね!

 

そこで自作した教材が、下の写真の紙人形です。「英文法人形」といいます。


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昔、雑誌の付録にあった、着せかえ人形をイメージして作りました。

体のほうは厚紙3枚を重ねて作っています。首をスポッと差し込めるようになっています。

では早速、この人形を使った授業を再現してみたいと思います。

私:I と you と he 、3つの頭を、下の体に組み合わせてみて。体に首を差し込んでね。

子:I am 、You are 、He is…これは覚えてる。

私:正解⭕️

私:「私は~です」って、自己紹介する時とかに使うことが多いね。

ちょっと練習してみようか。

子:I am 〇〇.   You are □□.   He is ☆☆.

私:あと、気持ちを伝える時も、I amって使うんだよ。

気持ちを言う単語のカード、意味が分かるのある?
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(ここからしばらく、気持ちを表現する練習)

私:あなたと彼の気持ちは、私には分からないから、「幸せなの?」って聞いてみたいんだけど。「あなたは幸せですか?」って、どう言ったら良いかな?

(覚えていない場合は) Are you …って聞いたことある?

(人形をクルッとひっくり返して)

逆立ちさせると疑問文になるんだよ。

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be動詞の文は、主語と動詞をひっくり返すだけで疑問文が作れるので、習得しやすい箇所ですよね。

そこで、人形をひっくり返すという、インパクトのある映像で、視覚に訴えて、思い出しやすくしようと思いました。実際、勉強してから時間が経つと忘れてしまう子もいるのですが、この人形を見せると、「ああ~、逆立ちだ~」と思い出せるようです。

初めに人形で文法の形を教えたら、次はプリントやワークで反復練習。be動詞の疑問文なら完璧✨、という自信を付けてあげたいです。

 

be動詞の疑問文が作れるようになると、現在進行形、過去(was,were)などにもチャレンジ出来るようになります。

チャレンジして正解して⭕️をもらう。

勉強って楽しかったんだ、と思える機会を、あらゆる子に…🤗

 

 

なぜ2X+3Y=5XYじゃないの?

前回に続けて

③同類項の話をします。

 

の前に、足し算の復習をします。

足し算は、大きな袋。袋のなかに、あれもこれもみんな放り込みましょう。プラスもマイナスも一緒の袋に入れてしまうから、プラスとマイナスは袋の中で戦って、同じ数ずつ死んでしまうよ。数(絶対値)が大きいほうが、生き残るね。

プラス同士、マイナス同士では、戦いは起きません。仲間だからね、戦わないで力を合わせるよ!

 

では、文字式の足し算を考えてみましょう。大きい袋にみんな放り込むのは一緒ですが、新たなルールが生まれます。

それが、同類項というルールです。

前回書いた通り、文字というのは正体不明な「ある数」で、そのXやYが何個あるかを、2X,3X…5Y,6Y…と係数で表しているわけです。

つまり、3Xというのは、「鉛筆が3本ある」のと同じようなものだと言えるわけです。

同様に、3Yは「ノート3冊」と同じだと思いましょう。

では、皆さんに質問です。

鉛筆3本とノート3冊を一緒にまとめて、「6だ」と言う人はいますか?仮に無理やり数えたとして、単位はどうしますか?

6本冊?

タイトルの

2X+3Y=5XY   は、これと同じ状態です。

本来足してはいけないものを、無理やり足している状態なのです。

鉛筆は鉛筆だけで、ノートはノートだけで、リンゴはリンゴだけで、足し算をしてあげましょう。同類項です。

私はこの話をする時は、写真のカードを使います。


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表はA、裏はリンゴ。

表はB、裏は本。

表はX、裏はあんパン。

表はY、裏はブタ。

「あんパンとブタ、一緒に数えられる?」と聞けば、「確かに…」と分かってもらえるからです。

また、Xをあんパンにしたのは、X2乗を教えやすいからです。XとX、2つをギューッと掛け算ベルトでまとめると、なんと!アンパンマンに変身しちゃうよ!


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XとX2乗を足し算してしまう子には

「あんパンとアンパンマン、足し算して良い?」と聞くと、

「足せない」と答えが帰ってきます。

 

ついでに、アンパンマンカードを3枚使って、「3X2乗」なんていう、得体の知れない、想像するのが難しい数量を、具体的にイメージしてみるのも良いかと思います。

 

☆まとめ☆

文字式を教える時のコツは、形の分からないXやYに、具体的な形を与えてしまうこと。

足し算と掛け算のルールを、時間をかけてマスターさせること。

教科書やワークの問題は、すぐに小数や分数が登場してしまうので、自分で問題を用意して、整数の問題をたくさん解かせて自信を付けてあげましょう。「文字は友達🎵」と思えるくらいに。

 

Xと2XとX2乗の話

中学生になって、文字が当たり前のように出て来て、教室では分かったつもりの子も実はよく分かっていなかったりする話。それがXと2XとX2乗ではないでしょうか。(2乗の小さい2がどうしても出せないので、毎回2乗と書きます。見づらくてごめんなさい。)

X+X=X2乗、X×X=2X  なんて答えを書いている子も見かけますよね。なるべく早い時期に、正しく覚えさせてあげたいですね。

 

そもそもですが、Xって何?というところで立ち止まって進めなくなってしまう子もいます。何だか分からない物を無理やり飲み込んで、平気な顔なんてしたくないゾ、というタイプの子です。だから、Xとは何ぞや、を最初に説明することもあります。

Xは、正体不明な「ある数」。大きくなったり小さくなったり、マイナスにもなれる。変幻自在な「ある数」なんだよ。

その「ある数」の正体を、「この式が成り立つ場合なら、なーんだ?」と考えるのが、方程式。

「ある関係性で連動して変わる数XとY」の関係を見つけて、式やグラフで表すのが、関数ですね。

そして、方程式や関数を考えるために、文字を使った計算のルールを覚えるのが、各学年始めのほうにある計算の単元です。

 

説明がウザいという子には、「文字も何かの数だから、あまり難しく考えなくていいよ」と伝えています。

アメが1こ2こ、鉛筆が1本2本、というように、文字XもYもAもみんな数えられるし計算出来る。だから、計算のやり方を覚えようね、と。

 

①数え方と足し算引き算

犬は1匹2匹、馬なら1頭2頭、と数えるよね。1イヌ2イヌ、1ウマ2ウマとは数えない。

でも、Xは1エックス2エックスと数えるんだよ。雑談だけど、同じように数える物を最近やっと見つけたんだよ。「いいね」の数って1イイネ2イイネって数えるよね。それと同じ。

そこが理解出来たら、文字式の足し算引き算は楽勝なはずです。1エックスを1を付けないで「X」と書くことだけ気をつければ、あとは普通の計算をしてXをくっ付けてあげましょう。

 

②掛け算と割り算

「数字×文字」の場合は、小学校の原点に戻って、「一人分は2X、じゃあ3人分は?」というような問いで、理解してもらえるかと思います。

問題は「文字×文字」。

ここでつまずく子も多いのではないでしょうか?

そこで私が用意したのが、写真のセットです。


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かけ算ベルトは、どんな文字でも数でも合体させる魔法のベルト。

どんな文字もギュッとまとめてしまうよ。


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ただし、同じ文字を掛けた時は要注意。

「Xを何個掛けているか⇒Xの〇乗」

2XはXがバラバラに存在しているけど、2乗は合体してひと塊になることを意識させられると良いのではないでしょうか。

割り算は、もともとベルトでまとめられている物からいくつか減らすイメージ。

「X2乗÷X=X」を、まずは実感してもらいたいです。

 

③同類項の計算

このまま③も続けようかと思いましたが、長くなりそうなので、次の回にします。

次回、「なぜ2X+3Y=5XYじゃないの?」

なぜ私は支援員を続けているのか②

前回、支援員にかける私の思いを書きました。が、あれは、中学生の質問への答えであって、私の本当の思いは、もうちょっと違うところにあるなぁ、という気がしています。

脇道その2です。

 

数年前、息子の友人が14歳で命を断ちました。伝わってきた話では、学校でいじめられていたらしい、と。

その子とは、あるスポーツチームで一緒でした。ちょっとマイナーなスポーツなので、市内に1つしかチームがなく、市内全域から子ども達が集まっていました。みんな学校がバラバラなので、学校での姿はグランドでは分かりませんでした。いつも笑顔で仲良しの子とじゃれているような子でした。

その子の葬儀には、スポーツチームの関係者は100人以上集まりましたが、学校関係者は数人だけ。ご両親が同級生には来ないでほしいと頼んだそうで、先生も5人くらいしか来ていないようでした。

 

後日、色んな噂を聞きました。

学校側はいじめを認めないらしい。いじめではなく、一緒にふざけていただけ、と加害者達が言っている、とか。ご両親に「マスコミには言わないように」と念を押してきたらしい、とか。

スポーツチームのあるコーチが、本人から相談を受けていた。が、そのコーチは根性の固まりのような人なので、「学校には行け。負けるな。」とアドバイスしていた、とか。

 

どうして学校はいじめを隠蔽したのだろうか?先生達は彼の悩みを知っていたのだろうか?

どうして彼は、もっと別の人にも相談しなかったのだろうか?

モヤモヤは今も晴れません。

もし私が、その子の学校で働いていたら、何か気付いてあげられたでしょうか?

彼のために何か行動してあげられたでしょうか?

 

支援員という存在は、先生のような先生でないような、微妙な立場にあります。教室では、子ども達に近い側にいつもいて、話しかけやすい存在なんだな、と感じています。

個別支援の時間だと、担任の先生の悪口を吐き出していく子、部活の悩みを打ち明けてくる子、いじめられていることを仄めかす子、「死にたい」なんていう本音を漏らす子もいます。

そんな時は、勉強は後回しにして、話をじっくり聞き、私の考えはちょっとだけ差し挟んで、他の先生に話して良いか確認してから、クラスに戻します。

 

担任の先生に伝えても良いと本人が認めたことは「こんなことを言っていたからこうして欲しい」と伝えるようにしています。「本人が困っています」と伝えても、何もして下さらない先生もいるので。

 

本人が内緒にして欲しいと言った時は、他の先生には言わないで、私一人で対応する場合もあります。心が落ち着くまで話を聞いたり、私自身の体験を話したり。

「そこまでするのはあなたの仕事じゃない」と言う人もいるかもしれません。

でも、目の前にいる子どもが、この人なら話しても大丈夫そうだと信じて話してくれている訳ですから、その信頼に応えることは、人として当たり前のことだと思っています。

 

個別支援の時間にボソッとつぶやいた内容を私が担任に話したことで、いじめが発覚し、解決に向かったこともありました。その子は、担任には話せなかったと言います。先生のような先生でないような人だからこそ、打ち明けても良いかな、と、心のハードルが下がったのだろうと思います。

 

子ども達の心に寄り添う--それが私の一番の仕事だと思っています。

だからこそ、この仕事は自分の天職だと信じています。

たかだか年収100万円のパート勤務が、何を言ってるんだと笑われるかもしれませんが、この仕事をしていれば、私は幸せなんです。そして、出会った子ども達に少しでも笑顔と自信を取り戻してあげることこそ、私の生き甲斐なんです。

 


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なぜ私は支援員を続けているのか

今回はちょっと脇道にそれます。

先日、不登校の中学生と一緒に勉強していた時に聞かれました。「なんで先生は、そのお仕事を続けているんですか?」

その答えを今日は書こうと思います。

先に言いますが、長いです。

お時間ある方はお読みください。

 

そもそも、私は高校生の時、普通の先生ではなく、保健室の先生になりたいと思っていました。今ほど「支援」という感覚の無かった時代、教室に居づらくなった子どもが居られる場所は保健室しか無かったような時代でした。体の傷だけでなく、心のキズも癒してあげれるような養護教諭になりたいな、と思っていました。

で、高校生の私は、どうしたら養護教諭になれるかを調べました。養護教諭養成課程は、日本中わずか数校の大学にしかありませんでした。

しかも、我が家は経済的に余裕がなかったので、親からいくつもの制限が出されていました。私立はダメ、一人暮らしへの仕送りは無理、浪人もやめて。

という訳で、家から通える国公立大学に限定されてしまい、その中に養護教員養成課程はありませんでした。

ショックを受ける私に、当時の担任は言いました。

「なんで養護教諭になりたいんだ?大事なのはそこだろ?各学校に1人しかいない養護教諭を目指すよりも、他の肩書きで子ども達の心を救えばいいじゃないか」

あの時、あの一言が無かったら、私は全く違う道を選んでいたかもしれません。

そして私は、地元の国立大学で、普通の教員免許を取る道を選んだのでした。

 

大学卒業時、あの頃は日本中で教員の採用がほとんど無い状態でした。倍率は百倍超え。私も当然、県の採用試験には落ちました。それでもなんとか、私立高校に採用され、教壇に立ち、担任も1年目から持つことになりました。しかし、毎日毎日、授業準備と部活、校務分掌や担任雑務に追われ、生徒の気持ちに寄り添いたい気持ちはあっても、時間的な余裕は、ほとんどありませんでした。

自分自身を高める時間も無く、あの頃の私は、本当に薄っぺらな教員でした。

 

そんな私立高校での激務から逃れるため(?)私は退職・結婚・出産をして「ただのお母さん」になりました。育児は、学校の勉強のように簡単ではありませんでした。私は、育児を通じて、それまでの人生で味わったことの無い「劣等感」や「無力感」を経験したのでした。

独身だった頃の「強くて勝ち気な優等生の私」には見えなかった物が、たくさん見えてきました。

 

結婚から11年、子育てが少し落ち着いてきて外の世界に関心が湧いてきた私は、仕事を探し始めました。この仕事を選んだのは、条件面を考慮したからでした。夏休み冬休みは子供と一緒に休める、16時には家に帰って子供と過ごせる、そんな理由からでした。

 

最初に配属された学校は、やや問題の多い小学校でした。学級崩壊寸前のクラスにいきなり入らされ、子ども達をおとなしくさせなさい、という無理ゲーを命じられたこともありました。管理職がパワハラ気質だったこともあって、すぐに辞めたくなりました。

そんなある日のことでした。

3年生の教室で最近乱暴な言動が増えていたA君が、作文を書く時間なのに席を離れてフラフラしていました。声を掛けても聞かないし、他の子にちょっかいを出すので、彼と手を繋いで、「一緒に行こう」と席に促しました。それでも席に座ろうとしないので、私が彼の椅子に座り、膝の上に彼を座らせました。意外なことに、彼はおとなしく私の膝の上に座って、そのまま5分くらいジーッとしていました。そして5分後「もう作文書くよ」と言い、本当に鉛筆を握り字を書き始めたのです。

私が「もう膝から降りる?」と聞くと「このままがいい」と言うので、その時間は最後まで膝の上に彼を乗せたまま、過ごしました。

実は、担任から前に彼の事情を聞いていたのです。彼の家では赤ちゃんが生まれたばかりでした。お母さんに甘えたいけど甘えられない不満が、彼の乱暴な言動の原因だったのです。

その作文の件以降、A君の言動は落ち着きを取り戻しました。学年の先生方もA君への対応を見直してくれ、温かい声かけが増えました。

 

そんなA君との一件で、私の心境は大きく変わりました。

ついこの前まで「ただのお母さん」だった私にも、出来ることがある。お母さんとしての経験が、学校の中で役に立つ場面もある。学校の中で、苦しい思いをしている子どもに、ピンポイントで寄り添い、手助けをしてあげる支援員の仕事は、昔、自分が目指していた「子ども達の心のキズを癒やす」職と通じるではないか。

 

それから10年以上経ちました。

勤務した学校は、小学校2校、中学校2校になりました。大勢の子ども達と先生方と出会いました。

小学校では、若い先生のクラスに入って、と頼まれることが多く、副担任のように子ども達と接しました。個別支援では、ひらがなが書けない、漢字が書けない、足し算が分からない、そんな子ども達に、なるべく楽しく勉強してもらえるように、工夫を続けました。

中学校では、乱暴な子への対応は、頼まれることはありません。小学校からずっと勉強で苦労してきた子に「どうやったら自信を取り戻してもらえるかな?」と考え続ける毎日です。校内では笑顔を絶やさず、子ども達にも先生方にもホッとしてもらえる存在でありたいと思っています。

時にはカウンセラーのように話を聞き、時には養護教諭のように身体を気づかう。それは家庭でお母さんとしてやってきた普通のことでした。我が子が今、学校で困っているとしたら、親として、どんな支援をしてあげてほしいか?と考えながら、目の前の子の手助けをしています。

ベースは優しさ。

その上に、親としての経験と、教育者としての経験。これまでの私の全てを注ぎ込むのみです。

だから私はこの仕事が大好きです。

 

 

 

方程式を楽しく

さぁ、方程式に入りましょう!

教えるほうも教わるほうも、ちょっと身構えてしまいますよね。さて、何から始めましょうか?

私はまず、方程式はクイズだよ、と話します。

分からない数字をXという文字にしました。さぁ、この式のXはな~んだ?

例)2×X=6  ,  X-3=0   ,    X+2=5

 

これくらい簡単な問題は暗算で解けるけど、難しくなってきたら無理ですよね。

だから、難しい問題を解く方法を覚えなくてはいけません。

 

①天秤を使って「等式の性質」を考える

天秤の左の皿には、水色の大きいブロック1個と白い小さなブロック2個、右の皿には、小さいブロックが6個載っています。真ん中にあるのは「=」で、左右の重さが同じで釣り合っている状態です。では、大1個と釣り合うのは小さいブロック何個?
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両方のお皿から小を2個ずつ取ると


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答えは4個。

水色のブロックをXとすると、X=4となります。

「等式の性質」は、方程式の基本なので単元の初めに習いますが、ここでつまずいてしまう生徒が意外といる気がします。

なので、初めは天秤を使いながら、簡単な問題をたくさんこなして、自信を付けてから、次の「移項」に進めてあげたいと思っています。「移項」のやり方を機械的に覚えてしまえば、大半の方程式は何とかなるのですが、「等式の性質」が理解出来ていないと、「両辺を10倍」なんていう技が出てきた時に、対処出来なくなります。

また、普通の計算問題と方程式の区別がついていなくて、

2x+5=3(x-2)=3x-6

などと、右にどんどん計算を展開していってしまう、方程式の意味が分かっていない子もよく見かけます。そんな子には、常に「左辺=右辺」を意識させる必要もあります。

 

※ちなみに、上の天秤は、針金ハンガーと青い紐、100円ショップで買ったコースターと消しゴムで出来ています。あと、スポーツ用のテーピングと木工用ボンドと粘土を使っています。

・ハンガーを半円形に整形してテーピングを巻き、その上からボンドを塗って紐を巻く。

・両端にコースターをテーピングで固定。その後ボンドで固める。

・消しゴム2個の真ん中に穴を空けてハンガーのフックに差し「=」を作る。

・最後にフックの先端に粘土で重りを付けて、自立出来るようにバランスを整える。

 

お皿を吊り下げるタイプの天秤は作ったことがないので、今度作ってみようかな🎵

 

 

②移項ブロックを使って、ルールを覚える

方程式とは「左辺=右辺」を常に意識しながら式を変形させて「X=☆」を目指すゲームのようなもの。数学の得意な子なら、分かってもらえる感覚でしょう。

苦手な子にもこの感覚を少し味わってもらいたくて作ったのが、下の「移項ブロック」です。



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板目紙でサイコロを9個作り、そのうち2個は水色、2個はピンクの紙を貼りました。水色はXの項、ピンクは数字の項に使います。

4個はプラスマイナス用です。サイコロの3面はプラスの赤、残り3面はマイナスの青を貼りました。

最後の1個は真ん中の「=」を目立たせるために使っています。「=」は大事ですので、もっと派手にしても良いかもしれないです。

次は、サイコロ4個が納まる大きさの箱を2つ作って、水色とピンクの紙を貼り、真ん中の「=」の両側にくっつけました。

これで準備は終わりです。

実際の問題に合わせて、水色とピンクのサイコロに数を書き入れて並べます。写真映りを考えてマジックで書きましたが、普段は鉛筆で書いています。問題によって数を変えないといけないので😅


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ここまで用意出来たら、生徒にルールを教えます。ルールは2つだけ。

①水色のブロックは水色の箱に、ピンクのブロックはピンクの箱にまとめます。

②真ん中の「=」を飛び越えて動く時は、プラスマイナスが「チェーンジ!」します。

動かすとこんな感じです。
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これで移項は完了です。

あとはそれぞれ計算して、「△x=◇」の形になったら、九九を使ったり分数を使ったりして、答えにたどり着きます。

 

早い子では、数問このブロックを使っただけで、移項をマスターしてしまう子もいます。

一方、もともと問題を解くのが嫌だから、ブロックを並べるのだけ頑張る子もいます。

それぞれのペースで、移項のルールを身に付けてくれれば、それでOKです😉