正の数・負の数の足し算
6年前、初めて中学校に配属された時に、一番私を困らせたのが、正の数・負の数でした。
正直、自分が中学校で習った時に、苦労した覚えがない。たぶん、小学生のうちに、〈マイナス〉の存在に気付いていたから、中学校で習った時は、「待ってました!」って感じだったのだと思います。
しかし、中学校1年生の中には、〈マイナス〉の概念が育っていない子もいるんです。ところが、数学の教科書も先生も、そんな子に合わせてのんびりじっくり教えてはくれません。
プラスが貯金なら、マイナスは借金
プラスが東に進むなら、マイナスは西に進む
ね、分かるでしょ?って感じです。
こんな例では分からない、という子に説明するために色々試行錯誤した結果、割りと分かってもらえたのは、温度計でした。
〈自作の温度計。温度は上げ下げ出来ます〉
「昨日の気温は4度です。今日は昨日より7度低いです。今日は何度?」なんて感じで使います。不思議と数直線より分かりやすいみたいです。
しかし、いつも温度計を持たせておく訳にはいきません。何よりテストで困ります。
そこで、1年かけて思いついたのが、プラスとマイナスを戦わせるという考え方です。
〈教室でサッと手渡す自作プリント〉
プラスとマイナスを足し算でまとめようとすると、仲が悪いから、戦ってしまう。1対1で戦うと死んじゃうよ、などと言うと、面白がってマスター出来る子がほとんどです。
この方法の良いところは、マイナスとマイナスの足し算を間違えなくなるところです。
「マイナスとマイナスは仲間だから、戦わないよね」と言うと「あ、そうか」と分かってもらえます。
頭の中で計算するのが苦手な子は、プリントに描いてあったようにプラスとマイナスを実際に描いて、1対1を消して、残りの数を数えます。これならテストでも間違えずに計算出来るので、「今まで数学0点だったけど、6点とれた!」なんて笑顔で報告してくれる子が出てきます。
どうせ6点じゃ成績は1のままでしょ、なんて言わないでくださいね。
自分の答案用紙に⭕️が1つも無いのと、3つあるのは大違い!
そして、6点とれた子は、「次のテストは2桁にしたい!」と意欲が湧いてくることが多いのです。
正負の足し算は、数学嫌いな中学生に魔法をかけてくれる、素晴らしい〈やる気スイッチ〉だと思いませんか?