正負の数を使ったゲーム
今回は、正の数・負の数のたし算、かけ算についての実践編です。
プリント学習や、タブレット学習など、純粋に「問題が解けるのが面白い!」と感じて頑張れる子は、ガンガン問題を解いてくれると思います。が、残念ながら、そう感じてくれないお子さんもいます。
どうしたら、勉強の匂いを柔らげることが出来るかなぁ、と考えて考えて絞り出した、ゲーム感覚の勉強法を紹介したいと思います。
①トランプで正負のたし算・かけ算
普通のトランプを用意します。
黒いマーク♠️♣️は正の数、赤いマーク♥️♦️は負の数だよ、と説明します。(黒字、赤字のイメージなだけですが)
カードを山にしておいて、生徒が1枚、教師が1枚引いて、出たカードを計算します。
♥️7+♣️10=(-7)+(+10)=+3
♠️3×♦️13=(+3)×(-13)=-39
という感じです。
学習する子の計算力に応じて、大きい数は入れない、など配慮してあげても良いですね。
また、対戦方式にも出来ると思います。
手軽に色々工夫出来るので、トランプはお部屋に1つあると便利ですよ😊
②ボール取りゲーム(正負のかけ算・たし算)
袋の中に入っているカラフルなボールをつかみ取りして、点数を競うゲームです。
〈縁日気分のボール取りゲーム〉
初めに生徒と話し合って「赤は何点、白は何点、…」と決めておいて、ボールをつかみ取り。それぞれの色の点数を計算して、最後は合計を出します。
初めのうちは全部の色の点数を〈プラス〉にしておいて、慣れてきたら〈マイナス〉の色も作ってみる、とか、ボール1個の点数を大きくする、とか、徐々に難しくしてみてください。
こういったゲームを取り入れることで、勉強の楽しさを思い出してもらうこと、計算力が自然と身につくことは、もちろん大事です。でもそれ以上に、自分のためにあれやこれや考えて用意してくれる先生がいるんだと体感してもらえることが、実はとても大事なんじゃないかな、と私は思います。
自分1人だけが教室を抜け出して、別室で勉強することは、子ども達にとって、大きなストレスです。それが原因でイジメが起きた学校もあるようですし。
だからこそ、その別室で待っている先生には、「君のことを大事に思っている」と言葉でも勉強の内容でも、伝えていただきたいのです。
家に帰っても両親からの愛情を実感できない子も、少なくないですよね。そんな子にも、自分のことをくそ真面目に考えてくれる大人がいると、感じとってもらいたいのです。
だから、私は色々とアイデアを絞り出しては、工作をします。
さっきの「ボール取りゲーム」のボールは、ダイソーで買った「ひのきボール」をアクリル絵の具で着色しました。
ちょうど良いボール状の物がなかなか見つからなくて、30分くらい、広いダイソーの店内をうろうろしてしまいました(笑)
先日は、天秤を作ろう、と思い立って、またもダイソーをうろうろ。あれやこれや考えて200円だけ買い物して帰りました。で、家にあった材料も使って作ったのが、この天秤です。
何に使うかは、次回のお楽しみです💕
正の数・負の数のかけ算 (符号の変化)
前回、正負の数の足し算について書きました。足し算の教え方は、ちょっと自信アリなんです😅
でも、かけ算わり算の教え方は、まだ開発途中という感じで、先日も同業の方に、「正負のかけ算の符号の変化って、どうやって教えてます?」と質問してしまいました。
(+)×(+)=(+)
(+)×(-)=(-)
(-)×(+)=(-)
(-)×(-)=(+)
を、どうやったら覚えてもらえるか。
たくさん練習すれば身につくよ、という根性論は、学習障害を持っているような子には通用しません。
なるべく忘れにくい、インパクトのある覚え方はないだろうか、と試行錯誤している私の、今現在のベストな教え方を、ご紹介します。
〈支援教室の掲示物より。自作です〉
まず、プラス君とマイナス君の性格を、生徒に説明します。
プラス君は、優しくて素直で、相手のことをそのまま受け入れる子だよ。
マイナス君は、ワガママでイタズラ好き。相手にちょっかいを出してしまうよ。
この説明を聞いた子の中には、実在のクラスメイトと結びつけて、プラス君て〇〇君みたい、マイナス君て〇〇君みたい、と考える子もいます。そのほうが、これから先の説明が納得出来ると思います。
では、かけ算でプラス君とマイナス君が結びつけられてしまうとします。プラス君はこれがやりたい、マイナス君はあれがやりたい、二人の意見が違うとしたら、どっちの意見が勝つと思う?
ーーワガママなマイナス君がゆずるはずないから、マイナス君が勝つと思う。プラス君は我慢して受け入れると思う。
そんな返事が帰ってきたら、しめたもの。「プラス×マイナス=マイナス」の説明は終わりです。
では、「マイナス×マイナス」をどう教えるか。ここが苦心するところです。足し算の時に、マイナス同士は仲間だから一緒になると教えたのに、今回はプラスになると教えないといけないのです。
私はこんな説明(?)をしています。
マイナス君は誰に会ってもちょっかいを出して意見を変えさせたい子。そんなマイナス君が、別のマイナス君と会いました。よし、こいつのことも変えてやれ。そう思って、無理やり変えたら、プラス君の意見になってしまいましたとさ。めでたし、めでたし🎵
そんな感じでお茶を濁しています。
もっとシンプルに、マイナスは相手の符号をひっくり返すよ、マイナスの裏はプラスだよ、とオセロの白黒のように考えさせるのも良いのかもしれません。
そこは教える相手と教える状況によって、臨機応変、色々あって良いと思います。
この符号の変化を覚えることは、中学生の数学を「出来る」ようにするには、不可欠です。
-2-(-5) のような正負の足し算から
-3(6x-4y) のような分配法則、
連立方程式で筆算をして文字を減らす時も、因数分解で〈足して◇かけて△〉の組み合わせを考える時も、とにかく符号を間違えたら、そこで終了です。
「頑張っているのに、なぜかテストで点が取れない」子には、符号の変化を勘違いしている子も多いので、正しく覚えさせてあげたいですね。
正の数・負の数の足し算
6年前、初めて中学校に配属された時に、一番私を困らせたのが、正の数・負の数でした。
正直、自分が中学校で習った時に、苦労した覚えがない。たぶん、小学生のうちに、〈マイナス〉の存在に気付いていたから、中学校で習った時は、「待ってました!」って感じだったのだと思います。
しかし、中学校1年生の中には、〈マイナス〉の概念が育っていない子もいるんです。ところが、数学の教科書も先生も、そんな子に合わせてのんびりじっくり教えてはくれません。
プラスが貯金なら、マイナスは借金
プラスが東に進むなら、マイナスは西に進む
ね、分かるでしょ?って感じです。
こんな例では分からない、という子に説明するために色々試行錯誤した結果、割りと分かってもらえたのは、温度計でした。
〈自作の温度計。温度は上げ下げ出来ます〉
「昨日の気温は4度です。今日は昨日より7度低いです。今日は何度?」なんて感じで使います。不思議と数直線より分かりやすいみたいです。
しかし、いつも温度計を持たせておく訳にはいきません。何よりテストで困ります。
そこで、1年かけて思いついたのが、プラスとマイナスを戦わせるという考え方です。
〈教室でサッと手渡す自作プリント〉
プラスとマイナスを足し算でまとめようとすると、仲が悪いから、戦ってしまう。1対1で戦うと死んじゃうよ、などと言うと、面白がってマスター出来る子がほとんどです。
この方法の良いところは、マイナスとマイナスの足し算を間違えなくなるところです。
「マイナスとマイナスは仲間だから、戦わないよね」と言うと「あ、そうか」と分かってもらえます。
頭の中で計算するのが苦手な子は、プリントに描いてあったようにプラスとマイナスを実際に描いて、1対1を消して、残りの数を数えます。これならテストでも間違えずに計算出来るので、「今まで数学0点だったけど、6点とれた!」なんて笑顔で報告してくれる子が出てきます。
どうせ6点じゃ成績は1のままでしょ、なんて言わないでくださいね。
自分の答案用紙に⭕️が1つも無いのと、3つあるのは大違い!
そして、6点とれた子は、「次のテストは2桁にしたい!」と意欲が湧いてくることが多いのです。
正負の足し算は、数学嫌いな中学生に魔法をかけてくれる、素晴らしい〈やる気スイッチ〉だと思いませんか?
ブログ始めました。
皆さま、はじめまして。
とある公立中学校で支援員をしている、無茶子と申します。自治体によって職の名前が様々かと思いますが、私の市を基準に話させていただきます。
支援員という仕事は、認知度が低いと思いますが、10年くらい前から「インクルーシブ教育」のための「お助け役」として、私の住む市では、各学校に1人か2人配置されています。
インクルーシブ教育というのは、誰も見捨てない、あんな子もこんな子も一緒に学ぼう、という理想に基づいていますが、現実はそんなに甘くなくて、みんなの歩幅がバラバラなのは、皆さまご存知のとおりです。
そんな教育によってこぼれ落ちてしまう子ども達を支援するのが、支援員の仕事なのですが、学校によって、頼まれる仕事の内容はさまざま。
私も今までに、小学校2校と中学校2校で働いてきましたが、実にさまざまでした!
小学校では、1年生のお世話係から始まって、算数・理科・家庭科・体育などのサポート役、大変なクラスの先生の心の支えまで。
脱走する子を追いかけたり、子ども達と一緒に掃除をしたり、休み時間にドッジボールをしたり…。
頼まれれば、何でもやりました。
一方、中学校は、授業以外の時間は何も頼まれない優雅な生活です。
ただ、数学や英語の授業にお邪魔して、生徒達の「分からない」をフォローするためには、自分が内容を理解するだけでは足りず、どう教えたら分かってもらえるかを探究しないといけないので、やはり楽ではないのですが…。
また、小学校でも中学校でも、教室での一斉授業についていけないお子さんを、別の部屋にお連れして、その子のペースで勉強させるという「個別支援」も存在します。
「うちの学校は個別支援は行いません」という校長先生もいらっしゃるようですが、私が勤務してきた4つの学校には、個別支援を必要としている子がたくさんいました。
支援員は、個別支援で教える内容は、担任の先生の指示を仰ぐのですが、先生方の指示は
「〇〇が出来るようにしてください」
「教室で勉強していることをゆっくり教えてください」
という具合です。
「どのように教えるか?」は自分で考えないといけなかったりします。
普通に教えても分からない子に、どうしたら分かってもらえるか?
練習してもすぐに忘れてしまう子に、どのように定着させるか?
そもそも、勉強嫌いな子に、嫌がられないように勉強させることが出来るのか?
そんなことを真剣に考え続けた私の12年分の実践例を、このブログに残していこうと思っています。
支援員の方だけでなく、教室や塾や家庭教師で苦労されている先生、お家で勉強を見ているお父さんお母さんにも、お役に立てれば嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
〈庭で見つけた、可憐だけど強い花〉